吉田誠〜空飛ぶおやじのスローライフ

アクセスカウンタ

zoom RSS 農業ビジネスとは?(2)

<<   作成日時 : 2010/02/05 02:17   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

二点目は、マーケットイン。マーケティングにより実需者のニーズを把握(販路を確保)し、販売計画と整合性のある製造計画を立てた上で製造に着手することである。これもまた基本中の基本であるが、農業経営では、完全なプロダクトアウトとなっている。

三点目は、販路の多様化・複数化である。これも製造業では、価格変動や需要量変動のリスクのヘッジのために複数の販路を確保しようと努力している。農産物の実需者は、小売だけでなく、外食、中食、食品加工、加工卸、飲食、化学素材など他分野にわたっている。当然、生産者は、価格変動や需要量変動のリスク回避やいわゆる規格品・規格外品の選別によるロス(商品化できない生産物の率)を低減するため、複数の販路を確保しなければならないのだが、これまでのJA、系統市場への過度な依存のため、この面でも遅れていると言わざるを得ない。

四点目は、流通・加工分野への進出である。生産者が、収益性(粗利率)を上げるためには、付加価値の高い、流通(直販、飲食)、加工分野に進出することが最もダイレクトなソリューションであることは明らかだ。こうした分野への進出は、年間労働時間の増大(労働対価累計の増加)と平準化、いわゆる規格外品の商品化を可能とし、生産者(従業員含む)の所得と経営体の収益の拡大につながる。

留意したいのは、収益拡大のためには、他に多品目作物の生産という手法もあるのだが、これらの対策を講じない、単一作物の年一作という従来型の農業ビジネスモデルでは、収益拡大はきわめて困難だということである。その理由は、時間当たり賃金の水準が高いのに、年間労働時間がサラリーマンの平均労働時間の約半分以下になってしまう点にある。米作りは儲からないと愚痴を言う生産者に出会ったら、「あなたの労働時間は?」と聞いてみることだ。年間労働時間が1000時間以下なら、当然、一家を養う、あるいは法人を維持するだけの収益があがるはずがないということになる。だからこそ、米生産者の多くが兼業農家という現実があるのだが。

五点目は、経営規模の拡大(適正規模への移行)である。生産コストの最小化と収益の最大化を実現する経営規模への拡大は、どのような分野においても経営体の明確な目標である。しかし、農業の場合、それは耕作面積の拡大ということである、実は、この農地の流動化による耕作者への優良農地の集約化こそ、日本の農業政策の最大の課題となっている。

この背景には、零細・兼業農家を手厚く保護する、政治家、官僚、JAの鉄のトライアングルがある。圧倒的多数の零細・兼業農家は、官僚にとっては自らの権限基盤である予算規模を保持するために補助金をばらまく対象であり、政治家にとってはその補助金を選挙区の農家へ誘導することにより選挙で当選する大きな票田である。JAにとっては、補助金対象となる資材を売り、補助金とセットの融資を貸し付け、保険料と預金を収奪するまことに都合の良い顧客である。だからこそ、JAは官僚のために補助金をもらうよう農家を説得し、選挙のときは政治家のための集票マシンとなるわけだ。

六点目は、流通・加工分野への進出や経営規模の拡大にともなう、経営スキルの獲得と人材育成である。経営規模の拡大が一定規模を超えると当然ながら従業員雇用が必要となり、法人化も必要となる。また、流通業や加工業への進出は、マーケティングや施設整備が必要となる。その結果、企画・財務経理、営業、労務管理、圃場管理、施設管理、在庫管理安全管理、衛生管理、リスク管理などのマネイジメント・スキルの向上が求められ、当然それらを担う人材の育成、確保が不可欠となる。

七点目は、生産者と流通事業者との間のリスク負担、ロス負担の明確化である。
これまで、流通側は、自らの都合による過度で(消費者にとっても)無意味なスペックや再生産コストを下回る価格形成、流通過程におけるロスなど、本来自らが負担すべきすべての負担を生産者に押しつけて来た。また、生産者もそれを受け入れて来たという経緯がある。
この問題を解決するためには、生産者の経営・交渉能力の向上はもとより、流通事業者が貴重な調達源である生産者の事業持続性を重視し、本来自らが負担すべきリスクとロスを明確にし責任を負うべき必要がある。
そのためにも生産者と流通事業者の負担責任、役割分担を鋭角にした契約の標準化を急ぐ必要がある。
また、再生産コストを無視した「買いたたき」や実際の消費需給に基づかない「投げ売り」などで、生産者を疲弊させ、市場を荒らす流通事業者には、そろそろ市場から退場してもらう必要があるだろう。

実は、90年代以降、この七つのポイントをクリアし、農業経営の企業化、ビジネス化に成功した生産法人が増加している。売上高で50億円超、経営mン関で100ha超といった経営規模の法人も生まれている。
しかし、日本の農業経営体数から見れば、ほんの少数に過ぎない。
いまブームとなっている「企業の農業参入」の意義は、まさしく、こうしたポイントを克服しようとする意識と志の高い農業生産者と企業が連携し、農業経営体の企業化、農業のビジネス化を支援・促進する点にあるのではないだろうか。




農業の経営と生活 (農学基礎セミナー)
農山漁村文化協会
七戸 長生

ユーザレビュー:
あまりためにならない ...
もとは農業高校の教科 ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

農業経営部門別統計(平成13年 第1分冊(稲作・麦)
楽天ブックス
商品副データ農業経営統計調査報告農林水産省農林統計協会この著者の新着メールを登録する発行年月:200

楽天市場 by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

農業経営組織の実務と会計?任意の組合から法人まで
農山漁村文化協会
林田 雅夫

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
農業ビジネスとは?(2) 吉田誠〜空飛ぶおやじのスローライフ/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる