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<<   作成日時 : 2012/09/25 00:54   >>

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ここ数年「ブランドづくり」という言葉をよく耳にします。
国、自治体、生産者の関係者から「地域ブランドづくり」や「農産品のブランド化」などに関して相談を受ける機会も増えました。

でも、「ブランド」あるいは、「ブランディング・マネイジメント」というものをよく理解しないまま誤って使われているケースがほとんどで、驚かされてしまうことも多いのが現状です。

そもそも、「ブランド」とは何なのでしょう?
実は、「ブランド」は、次の三つの要件で成りたって立います。

一つは、高品質。
品質の高い製品や産品を提供するということですね。

二つ目は顧客満足。
つまり、高い顧客サービスを提供しているということです。

さて、あと一つは何だと思います?
それは、実は「時間」なのです。

「持続力」と言った方がわかりやすいでしょうか。
つまり、高品質の製品と高品質の顧客サービスを提供し続けるということです。
これが実は最も重要な要件なのです。一時的、一過性の「流行」との決定的な違いです。

個人的には、最低でも3世代わたり高品質商品と顧客満足を提供し続けることができてこそ、初めて「ブランド化」ができたと言ってよいのではないかと考えています。

ここで気付いてもらいたいことがあります。
それは、高品質の商品と高品質のサービスを持続して提供し続けることができるのは、当然、生産者であり、製造者ですよね。
しかも、一人の個人ではなかなか難しく、何らかの組織がその主体となるということです。伝統工芸や農業にしても、職人・生産者がその技術や経営哲学を継承して行くためには、販路・運送・資材・資金の面で彼らを支える多くの人々との組織的な連携が不可欠です。会社組織、組合組織に限らず、ギルド的組織や地域組織というものが必要となるのです。

例えば「グッチの鞄」は世界的ブランドですが、実はその「ブランド」の本質的価値は、「グッチ」という会社組織にあるのです。100年以上にわたって質の高い製品と顧客サービスを提供し続けることができている組織力、持続力がグッチ・ブランドの本質であり価値なのです。

有名な青森のリンゴも、同じように考えれば、高品質のリンゴを全国、世界へ提供し続けて来た主体である「産地」という地域組織(個人生産者、生産法人、農協を含む概念)がそのブランドの本質であり価値だということになります。

こうしたブンランドの本質をよく理解した上で、日本でよく見受けられる誤った認識をいくつかあげてみましょう。

一つは、前述しましたように一時的な「流行(ブーム)」と「ブランド」は違うということです。
品質、サービスに対する高い評価が世代を超えて持続してこそ「ブランド」と言えるのです。テレビや雑誌に取り上げられて、一過性のブームとなり「ブランドづくり」が出来たとおっしゃっている方をよく見受けるのですが、それは大いなる勘違いです。しかも、残念なことに、そのような事例に限って長続きした事例はほとんどないのが現実です。

次に、最近のお米の「コシヒカリ」に代表される「品種ブランド」という考え方も誤りです。
先ほど説明しましたように「ブランド」は「モノ」ではなく、「製造・生産主体」である組織の力がその本質です。
だから「○○のコシヒカリ」の「○○」に入る生産者組織あるいは産地が高い品質のコメと顧客サービスの提供を長期間持続できた場合に、はじめて「ブランド」となるのであって、コシヒカリという品種への評価は一過性のブームに過ぎないのです。
実際、コシヒカリの品質にも産地や生産者によって大きな差がありますし、そのブームにも最近陰りが出て来ています。あくまで、新潟のコシヒカリ、福島のコシヒカリといった、産地、生産主体が評価されていることに気付くことが大切です。

三つ目は、「ブランド」=高級品=高価格という思い込みです。
もちろん品質や顧客サービスが良ければ、それらの点で劣る競合他社の製品と比較して高い価格をつけることは可能です。
しかし、ビジネス戦略上、高価格帯の希少価値製品といったニッチな市場を狙うのではなく、多くの人々に購入し消費してもらい大きな市場シェアを占めたいと思うのであれば、高い品質と顧客サービスの提供をよりリーズナブルな価格でできるよう、コスト低減努力に取り組むのが普通です。

ビジネスの世界では、競合他社は同じ品質でより安いものをつくろうと努力し、先行企業から市場を奪おうとするのが当たり前ですから、先行利益や希少価値にあぐらをかいていれば、すぐに追い越されてしまうからです。
特に農産物は人々の命を支える大切な食料です。嗜好性の高い作物はともかく、お米や野菜などは、国民の食生活の基本ですから、出来うる限り適正な価格で供給することが生産側に求められる大切な責務であり使命だと私は思います。

また、安全性は食品の基本要件ですから、安全性を付加価値だと称して価格を上げるという考え方は、食品産業に携わるものとして基本的に問題がある姿勢ではないかと考えています。

そう言えば、コストの低減と言う話をしますと、農業関係者からすぐに「買い叩きする気なのか」と警戒されてしまうことが多いのには驚きます。
農業界においては、生産コストの低減は、収益性の向上、競争力を強化のために行うものだというビジネス界の基本常識が通用しないのでしょうか。
生産コストを下げ、価格を維持すれば、当然、収益率が上ります。また、新しい市場に食い込むために競合他社より価格を下げて販売しても収益を確保することもできるわけです。

農業経営者の方々と話をしていて、農作物の販売価格は即答できるのに、生産コストや収益率を答えられる方が未だに少ないというのは、コストマネイジメントがきちんとできていないという意味で農業界が抱える基本的問題点だと思います。

また、コスト低減は例えば肥料代や農薬代、賃金などの経費をとにかく削ることだと思われがちですが、一番効果的な方法は反収(面積当たり収穫量)や従業員一人当たり販売額を引き上げることです。

また、経営規模を適正化する、つまり人員や機会の稼働率を最も効率の良い規模にすることも大きな効果を生みます。
いまどき、大規模化なんて言葉を使う方はいないでしょうが、品目別に最も収益率の高い面積規模は何haかは、統計上明確になっています。
この面積を適正規模と言うのですが、収益率は、この適正規模を越えると徐々に下がって行きます。
但し、収益額は増加して行きます。
単純に言えば、適正規模の倍数で面積を増やして行くことが最も効率が良いと言うことになります。

もちろん、生活をして行くためには、収益率だけではなく、収益額も重要となりますから、どの程度の収益額を目標とするかは、経営者の人生設計次第です。
ビジネスモデルとは、この経営者の人生設計、つまりいくら儲けてどのような生活を送りたいかによって決まって来るのです。
1000万円を目標にゆったりと暮らすのか、馬車馬のように働き100億円の世界的企業をめざすのか、それは自分次第ということになります。

そう言えば、以前、青森県の集落営農法人の方々とお話する機会がありました。
簡単な経営分析をさせて頂いたのですが、一番の問題点は、労働時間があまりにも短く、季節によって偏っているということでした。
労働時間が短ければ所得が上らないのは当然です。生産品目の多品目化や輪作体系品目の見直し、加工、・直売、作業受託などによる経営の多角化、人員配置や作業計画の効率化による人件費のコストパーフォーマンスの向上に取り組む必要があるというのが結論でした。

反収についても、この辺りは昔からこの程度の反収だという思い込みからか、新しい品種や栽培方法の導入や、土づくり、施肥設計の見直しなどに取り組まれていないことにも驚かされたことを思い出します。
もちろん、それ以降、いろいろな取り組みをされ、現在は経営も順調に行っているとお伺いしていますが。

少々脱線してしまいましたので、話を元に戻しましょう。結局、「ブランドづくり」とは、高い品質、優良な顧客サービスを提供し続けることのできる組織づくりであり、組織の経営力の向上だということが出来ます。
アイデア商品をつくり、メディアに露出させることが「ブランドづくり」ではないのです。

農業関係の議論を聴いていて気づくのは、単純な白黒論が多いこと。
言葉の意味もよく理解しないまま、
歴史的背景や市場動向も無視した、○○には賛成だ!反対だ!、○○は良い!、悪い!
というような議論がよく見受けられます。
そうした議論には、未来へのビジョンも論理性も現実性も見い出だせないと思うのです。

ブランド化も、本当の意味や意義を理解することからスタートですし、
経営規模についても、小さくても良いとか、大きいほど良いとか、
そんな机上の議論は、もうやめるべきだと思います。






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