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zoom RSS 日本農業の最大の危機は

<<   作成日時 : 2013/12/14 13:20   >>

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いま、日本の農業ビジネスを取り巻く環境は大きく変わろうとしています。
巷間では、TPP問題が大きく取り上げられています。しかし、実は、農産物・食料の国内市場の縮小こそが最大の変化であり、最大の問題なのだと感じています。

国内農産物市場は、これまで、右肩上がりで成長を続けて来ました。そして、生産、流通すべての仕組みはその前提に立ってつくられて来たのです。
いま、私たちはそれらを抜本的に見直さなければならない事態を迎えています。
そうした意味で、市場の自由化問題も、国際政治による外圧的側面だけではなく、国内市場の縮小に対応して海外に市場を求めて行かなければならないという内圧的側面からも議論されるべきなのではないかと考えます。

コメの一人当たり消費量は、1962年から2005年までに48%減少、野菜の一人当たり消費量も最近の10年間で12%減少しています。この背景には、人口の減少と高齢化、そして食生活様式の変化などの要因があります。この減少は今後さらに進み、兼業農家、自給的農家を中心にした生産者数の減少はもちろん、流通事業者、小売・外食など実需要者、資材メーカーなどあらゆる農業関連分野における淘汰・再編を加速するものと予測されます。
農業・食料ビジネス分野はまさしくサバイバル局面に入っているのです。

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更に、最大の問題は、農地集積が進むとしても、慢性的な生産過剰状態を脱するために作付面積の総量を減らすほかなく、その結果、優良農地の保全が困難になるという問題です。
主食であるコメの現在の作付面積は157万ha(うち140万haは好条件の優良農地と推測)です。試算上、2050年に人口が7,000万人に減少した時点の食料安全保障政策上必要な作付面積は94万ha(生産量498万t)になります。つまり、2050年にはコメの作付面積が70万ha減少してもよいことになるのです。

水田が減少しても食糧に困らないのなら良いじゃないかという判断も可能でしょう。しかし、貴重な国家資源である優良農地を保全するため、国際競争力を高め輸出事業を振興して行くというのが、食料安全保障政策上あるべき戦略なのではないかと考えます。
食料安全保障政策の根幹は、食生活の変化指標でしかない食糧自給率の向上などではなく、主食食糧の生産能力の維持、そのための優良農地の保全なのです。

実は、OECDの主要農業国において、農地面積が減少しているのは日本だけです。他の国々では、食糧安全保障上、国内市場だけでは供給過剰となる場合、農産物輸出を戦略的に推進することにより農地の保全を可能にすることが不可欠であるという基本的認識を堅持されているのです。一方、国内市場における需給だけを重視して来た我が国では、本格的な輸出振興政策を取る替わりに、減反政策と宅地転用の容認により140万haの優良農地を既に失ってしまったのです。

このように、農産物輸出の振興は、高所得層を狙ったニッチなスモールビジネスなどではなく、優良農地の保全(=国内食料生産力の保全)と雇用確保という食料安全保障政策及び地域産業政策においてきわめて重要な意味を持つ国家的戦略事業なのです。

農産物輸出に関しては、海外に比較して生産費が高く無理だとの主張がよく聞かれます。しかし、それは価格競争力向上の努力を怠って来た過去を追認するものでしかなく、好条件地域においては生産・流通分野のイノベーションにより、国際的な価格競争力を持つことは十分に可能だと考えています。
しかし、市場価格支持政策と高コスト体質の温存、コスト・マネジメントに対する理解不足、不毛な産地間競争の扇動、持続性のない高価格帯市場狙いのニッチ・ビジネスの礼賛、補助金への過度な依存、産業政策と地域社会政策との混乱など旧来の農業界の常識や体質が、国際市場への本格的な進出への大きな障害となっています。

生産者と企業との連携・協力により、こうした障害を乗り越え日本の農業ビジネスの自立とイノベーションの推進のための取り組みを進めることができればと願っています。

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