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<<   作成日時 : 2014/08/26 00:00   >>

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土曜日は、千葉科学大学のサテライト大学院での講義でした。
テーマは「農産物取引におけるリスクマネジメント」。
危機管理研究科の講座の一コマを担当させてもらっています。

食品、食料の世界では、「安全」、「安心」ということが基本になります。
では、「安全」とは何なのでしょうか?「安心」とは何なのでしょうか?
抽象的な言葉の説明ではなく、定量的な指標はあるのでしょうか?
もしかしたら、人により、条件により定義が変わるものなのかもしれません。

また、完全な安全と言うものはあるのでしょうか?
そこまで私たちの科学的な知識は完ぺきなものになっているのでしょうか?

そんな疑問を抱きながら周囲を眺めてみると、
どうも、日本の農業界、食品産業界では、
あまりにも抽象的なまま安易に、「安全」という言葉が使われているような気がします。

実は、ビジネスシーンでは、この「安全」という概念はあまり使われていません。
基本的には、具体的かつ定量的なリスクの大きさとして認識され、
そのリスクをいかに小さく、少ないものとするかについてシビアな議論と検討がなされます。
いわゆるリスクマネジメントですね。

事業のリスクマネジメント作業を簡単に説明すると、
まず、考えられるあらゆるリスクを抽出し整理します。
その次に、それらのリスクの具体的な要因、その影響を、これも具体的かつ定量的に測ります。
最後にそれらのリスクをどのようにして、どの程度まで軽減できるかについて具体的な対策案を検討します。

さらに注意して検討しなければならないことがあります。
まず、リスクトレードオフの問題です。

一つのリスクを減らすと、別のリスクが増えてしまうことが多々あるのですが、
これをリスクトレードオフといいます。

例えば、水道水の中の細菌数を減らすためには、塩素殺菌をするわけですが、
細菌数を限りなくゼロに近づけるためには、大量の塩素の投入が必要になります。
その結果、一定量以上の塩素を投入すると、
今度はその塩素による健康被害を起こしてしまうことになるのです。

このため、
細菌数をどの程度まで減らし、塩素量をどの程度まで投入するのか、
それぞれの影響度合を図りながら、最終的な決断が求められることになります。

次に、リスクヘッジコストの問題も検討しなければなりません。
リスクを減らすために、どれだけコストがかかるのかということです。

お金を無限に使えるのであれば問題はないのですが、そのようなことは現実にはあり得ません。
リスク軽減した結果、商品価格がお金持ちしか買えないような高価格になってしまったり、
コストが収益を上回り、赤字になってしまうことは、現実的には避けざるを得ないわけです。
国や自治体にも予算というものがありますから、やはり使えるお金には限界があります。

ですから、リスクをゼロにすることは、現実的にはきわめて難しいのです。
コスト的な限界があるのですね。

「安全」の問題は、このようにリスクマネジメントの視点から見ることによって、
はじめて、具体性、定量性、現実性を帯びることになるのだと思います。

農業関係のFBで、有機栽培、無農薬栽培をめぐる議論が頻繁になされていますが、
ある生産者が、「この議論には疲れ果ててしまう。」とコメントしていらっしゃいました。
その理由の一つは、科学的な議論だと言いながらも、
結局は、「安全」か「経済性」かといった、
日本人特有の短絡的、情緒的な白黒論に帰着してしまいやすい問題だからなのではないかと思います。
特に「安全」という抽象的で無定義な概念が、
まるで無敵の「ご印籠」のように使われているのが問題なのではないかと思うのです。
如何でしょうか。

リスクマネジメントの視点から、
定量的、客観的、現実的にこの問題を議論してみてはどうなのだろうかと思います。

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