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zoom RSS 日本の農業技術は本当に優れているのか?

<<   作成日時 : 2015/03/28 22:29   >>

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編集者のKさんから次のような質問が来ました。

「よくオランダの農業が進歩している、優秀なノウハウを蓄積していると聞きます。
実際、日本の企業は太陽光型植物工場でトマト栽培を開始する際、ノウハウをオランダから導入したといいます。
一方、日本の農業もレベルが高いという評価と、いや「井の中の蛙」で世界レベルではそれほどでもない、という二つの意見を聞きます。
オランダと比較して日本の農業技術のレベルはどんな位置にあるとお考えでしょうか。
作物の種類により、レベルに大きな違いがあるのでしょうか。
・・・あるものは進んでいるが、あるものは遅れているとか。
あるいは、進んでいる、遅れているという比較基準が、明確には設定できないのでしょうか。
ご多忙の中すみませんが、よろしくお願いいたします。」
(固有名詞の部分は省いています。)

日本の農業技術は世界的に優れているのか?という議論、最近どこかでも聴きました(*^^*)
Kさんも気付いているように、この質問自体、論題の設定自体、無理があるのです。
農業の現場のディテールも国際的な農業の実態を知らない方が陥りがちなところだと思います。

僕は、移動中だったこともあり、とりあえず次のようにメールで返信しました。
(固有名詞を省き、わかりやすくなるよう大幅に追記しています。)

「施設栽培については、品目は限定されますが、オランダのノウハウの蓄積は日本よりも優れていると言うことはできます。
オランダ方式を真似た日本の施設栽培企業は、実はオランダのノウハウの表層的な部分だけしか技術移転出来ていませんでした。ごく一部の知見だけを教えられ、真似たに過ぎません。
だから、みなさん事業経営としては成り立たずご苦労されたようです。

最近になってオランダのコンサルや施設栽培関連企業がコングリマットとして、日本を始めアジア圏に進出して来ています。もちろんビジネスとしてです。
その背景には、彼らが流通事業者と一緒になって形成した高価格帯の野菜市場が、東欧圏の国々のEU加盟により、品質の良い低価格の野菜がEUに流入したこともあって、崩れ出し、これまでの市場戦略では立ち行かなくなったというネガティブな一面もあると考えています。

そんな彼らが日本の研究者や企業に肝心のノウハウを視察しに来ただけの人たちに無償で技術のコア部分を移転するわけはありません。資本提携(業務提携だけではダメです。)しなければ、ノウハウの核心部分を知り得ないのは当然でしょう。
ただ、オランダと日本では、気候や市場環境(ニーズ)、インフラの整備状況などが異なりますから、オランダのノウハウがそのまま日本で通用するわけではありません。もちろん、そのことはオランダの企業は十分承知しています。

このように、作付け品目や栽培地域、ターゲット市場などを考慮せずに、技術を単純に比較し優劣をつけることには無理があるのです。
もちろん、他国のノウハウや技術の一部を導入することによって生産性や品質の向上に大きな成果があがるものもあります。
現在、私は東南アジアで日本の稲作技術の移転プロジェクトに携わっているのですが、すべての技術を移転することには無理があります。
それぞれの国、地域の気候、市場状況、農家のおかれた状況、法制度、資材・機械の調達状況、インフラの整備状況、流通の状況等、現状に応じて、必要かつ有効な技術を移転するようにしています。
また、その国や地域の技術の中には、やはり長い歴史の中でその国や地域の環境や作物の特性に応じて、考え抜かれた技術というものがありますから、それらを逆に学びながらお互いの技術を融合させ、より良い成果を出すように努めています。

もちろん、日本でも一定の栽培の歴史があるイチゴ、キュウリ、メロン、キノコ類などの施設栽培技術は、創意工夫が重ねられ、とても優れた技術、ノウハウを有しているということができます。もちろん、施設栽培以外の水稲や果樹、花きなどでも、すぐれた技術の蓄積があります。

ただ、世界市場を相手にして来ていないものが多く、国際市場でのコスト競争力が脆弱であるということは日本の弱点です。特に、穀物・豆類の量産のための技術という面では、日本は遅れていると言えます。
これも国内市場だけで、高品質高価格だけを追い求めて来た農業、輸入ばかり考えて来た流通と言う、これまでの日本の農業の特性の一つだと思います。また、GMを市場が受け入れないという事情も影響しています。

施設栽培における技術ノウハウとは、グリーンハウスの中の環境制御技術だけではなく、品種改良、資材開発、農機開発、栽培技術(耕起、整地、播種、定植、生育管理、防除、圃場管理、収穫、乾燥・調整、検査等々)、植物生理学的知見、土壌改良、インフラなど幅広い技術が体系的に結集されたものであることを認識することが大切です。
ですから、一般論、総論としては、それぞれ優れたところがあり、知識や技術を共有し学びあうことが重要だとしか言いようがないですね。

これらの点を「植物工場」などと、わけのわからない言葉遊びをしている日本の研究者や企業が、
これまで十分理解できていなかったのは残念ですね。
でも、苦労した人たちが日本人特有の堅実さで、その過ちを乗り越えつつあると、
最近の動向を見ながら感じています。」

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
「『植物工場』などと、わけのわからない言葉遊びをしている日本の研究者や企業が、これまで十分理解できていなかった」
当にその通りですね。
表面だけをなぞっても成功は望めません。
自分に合ったやり方、土地に合ったやり方を探り当てるのが本当の技術です。
生き物相手ですから基準を作ってしまうとブロイラーの増産みたいになってしまい特質は出てきません。
オンリーワンを目指そうと思ったら、矢張り自分自身のデザインが必要です。
私は今そのデザインをサポートするシステムを提供しています。
大ちゃん
2015/03/29 05:22

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