一把ひとからげ

TPPがトップニュースになり、
農業の市場開放に関する議論が政治問題化しています。

でも、
こういうときは十分気をつけなければいけません。
「農業は……」とか、「農家は……」というような語り口での政策議論は、
まあほとんど中身がない(失礼)ということに…。

だって、
「農業は」、「農家は」と一把ひとからげに語るような認識では、
とてもヴィジョンを、戦略を、政策を、語れるはずなどないのですから。

農業は、多層的で地域多様性のある産業です。

たとえば、一つの概観を示してみましょう。

まず、農業、農家には、
一定の規模拡大(基本的には10ha以上と考えて良いでしょう)ができる地域、
規模拡大等の努力をし、自立経営をしている、あるいはめざしている層、
が、あります。

次に、
条件的に一定の規模拡大が難しい地域、
どんなに努力をしても一定規模以上の規模拡大が難しい中でも、自立経営をめざし努力している層、
があります。

最後に、
規模拡大ができる地域で、自立をめざした努力をする意欲がない層、
規模拡大が難しい地域で、自立をめざした努力をする意欲がない層、
があります。

ですから、
農業の市場開放についての議論の前提条件として、
少なくとも、
自立できる分野とそのための支援策、
自立できない分野で、
国民的、国家的視野から保護すべき分野と保護しなくて良いと考える分野、
保護しない場合の雇用吸収策、福祉施策、
という区分を
食料安全保障や農業の多角的機能の側面から明確にする必要があります。

これは、反対派、賛成派いずれにも求められる条件です。
明確なヴィジョンがなければ、戦略も政策もあり得ないからです。

こういう視点から冷静に眺めてみると、
今のところ、反対派(農業団体)の方々の方が、
この前提条件を明確にしないまま、抽象的、情緒的な議論を行っている印象です。

これが意図的であればまだしも、
そうでないのだとしたら、
これが日本の農業界の哀しい現実であり、
これが日本農業をここまで窮迫させた原因の一つなのだと思うしかないのかもしれません。


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